春の扉 ~この手を離すとき~

「あいつより俺の方がぜってーかっこいいし」

「あのおっさん草食で根暗っぽくねー? 運動神経なさそーだし」


どうやらここにも咲久也先生を快く思っていない男子が2名存在していた。

健太郎くんが『おっさん』って呼んでいるけれど、どうみても咲久也先生はまだ20代だと思う。


「でもバスケやってたんだって」


どこからいつ間に仕入れたんだろう。
文乃のこの情報収集の早さに驚いてしまう。

そしてその情報がますます純輔と健太郎くんを卑屈にさせていった。


「こっちは現役だってのー」

「俺の方が背が高いし、レベルが違う」


そんな男子2人の子供っぽさを見て、わたしたちは呆れながら笑ってしまった。

















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