春の扉 ~この手を離すとき~
……これからどうしよう。
おばあちゃん家の駅まではあと5駅。
電車はもちろんだけれど、バスもこの時間にはもうないはず。
そしてタクシーに乗るお金もないし。
始発までここの駅で待つべきか、おばあちゃんの家まで無謀を承知で歩いて向かうべきか……。
でも歩く体力がありそうもなかった。
動きすぎたせいで、計らなくても熱がかなり上がっているのを感じる。
途方にくれるってこういうことなのかも。
ダメなときって、本当、何をしてもダメなんだろうな。