春の扉 ~この手を離すとき~

『美桜は何を願う?』

『わたしは現実をみていますから』


そう。
願わないって決めていたのに。

願ってもそんなもの叶うわけないって。


願えば願うほど、大切な存在がどんどん遠くにいってしまうって分かっていたのに。

おばあちゃんとあの人、そして咲久也先生……


いつの間にか、こんなにも先生のことを好きになっているなんて。



……会いたいなんて思わなければよかった


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