春の扉 ~この手を離すとき~

マンションに送ってもらいながら、文乃と純輔にこれまでのわたしの気持ちを話した。


健太郎くんを友達以上には思うことができなかったこと。
別れきれずに、健太郎くんと健太郎くんを大切に思う智香を傷つけてしまっていたこと。


そして、……先生に惹かれていたことも。


さすがに健太郎くんにキスされそうになったことや、智香の気持ちに気づいたことは話せなかったけれど。


わたしが全てを話したとは二人は思っていないみたいだったけれど、無理に聞こうとはしなかった。


そのときにはすでにマンションについてしまって、でも話し足りなくて、わたしたちは自然に立ち話をしていた。


< 289 / 349 >

この作品をシェア

pagetop