春の扉 ~この手を離すとき~
「美桜とおばあ様のことをあまりよく思っていないようなんだよね」
「……おばあちゃん? 」
「『束縛されている』とか『とらわれている』とか。……何か心当たりある? 」
詩織の言う『あなたたち』というのはわたしとおばあちゃんのことなの?
これでますます分からなくなってしまった。
どうしておばあちゃんなんだろう?
先生とおばあちゃんに接点なんてあるはずもない。
唯一あるとすれば、1月の月命日に先生に『学校を休みます』と伝えたぐらい。
「その様子だと、思いあたることはなさそうね」
「まったく。……他の人と勘違いしてるのかも」
わたしは智香に首をかしげながら答えた。