春の扉 ~この手を離すとき~
やっぱり先生にとってのわたしは“ただの生徒の一人”だったってことだよね。
それにあれだけ酷いことを言って、あげく倒れて迷惑をかけてしまったのだから。
もう嫌われていても仕方がない。
涙がじんわりと込み上げてくる。
そんなわたしに、智香は”言うんじゃなかった”っていう顔をしていた。
……ごめん、智香。
「でも卒業したらどこかでばったり会えるかもしれないよ? 2年なんて長いようで短いし」
智香が無理矢理に元気づけようとしてくれるけれど。