春の扉 ~この手を離すとき~
突然、なに?


また胸がドキッとしてしまう。


でも違う。
今のはこれは驚いただけ。
そう、驚いただけなんだから



腕を持ったままの先生は何も言わない。


わたしはどうしたらいいのか分からなくて、つかまれた所から、先生の腕をたどりながら顔をあげていった。

そしてあと少しで目が合いそうになったとき



――― コンコンコンコンっ!


突然、窓ガラスを激しくノックする音に思わず振り返ると、そこには顔をしかめた健太郎くんがいた。
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