春の扉 ~この手を離すとき~
わたしたち4人は同じクラスの高校1年生。文乃と純輔もバスケ部なので自然に知香と仲良くなり、テスト週間になるとこのメンバーで“勉強会”という名ばかりの会合を開くようになっていた。
本当はすぐにでも家に帰って勉強に取りかかりたいのだけれど、付き合わないと真面目って思われてしまうのはなんだか嫌で。
みんなには申し訳ないと心の中で謝りながら、今日も深夜まで“ぬけがけ”の勉強をするしかない。
そして、わたしの隣で炭酸ジュースを片手にポテトをつまんでいるのは、隣のクラスの健太郎くん。
今回からこの勉強会に参加している。
短い髪で体もがっしりとしていて背が高くて。
見た目どおりスポーツマンという雰囲気が出ている健太郎くん。
1年生なのにバスケ部でレギュラー入りしているらしくて、人気もそこそこあるらしい。