春の扉 ~この手を離すとき~
テスト週間最終日の放課後。
学校中の生徒は、疲れきった体を引きずるような朝の重苦しさとは違い、解放されたという晴れ晴れとした表情に変わっていた。
テスト中はあの人からの連絡はなかったし、テストに集中していたおかげで咲久也先生のことを気にすることもなかった。
文乃と純輔は久しぶりのデートを楽しみたいみたいで2人で帰り、健太郎くんは勉強で溜まりあげたストレスを発散するために、明日からの部活開始は待たずに自主練すると言い残して体育館へと飛んで行った。
『待ってろよ』
と言われたけれど……。
わたしは学校帰りに智香に付き合ってもらい、健太郎くんへのクリスマスプレゼントを選びに2駅向こうの大型のショッピングセンターに向かった。