春の扉 ~この手を離すとき~

「君さぁ、女の子は少しぐらい強引なのは好きだけど。さすがに本気で嫌がってるときぐらいは分かろうよ? 」


先生は表情とはまるっきり違い、柔らかくそして冷静に健太郎くんに話すけれど、そのギャップがかなり怖く感じる。


「俺が俺の彼女と何しようがあんたには関係のないことだろ。ってか美桜に触んなよっ! 」


今にも先生に殴りかかりそうな勢いで、睨みつける目と脅すような乱暴な言葉を吐いている健太郎くんの姿が、わたしに恐怖感を与えてきた。

けれど先生は何とも思ってはいないみたいで、健太郎くんの言葉を聞き流しながらわたしを抱えあげなおすと、ベンチに座らせてくれた。


「おい、美桜から離れろよっ! 」


そう言って健太郎くんが先生の肩を掴んだけれど、どうやったのか先生は軽く払いのけてしまった。


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