ThEy'Re SEVeN ;
少年は一人立っていた。
辺りは見渡す限りの木々。
気付けば一人立っていた。
着ている服は洒落ている。
持っている物も結構ある。
けれどこれではまだ、
「足りない…」
足りない気がした。
だがそれを満たしてくれるモノは既に有る。
それは自分の心の中に。
ひとたび念じれば手の平に。
そう、それは形の無いモノ。
現に手の平に現れるわけでもない。
けれど少年は感じていた。
それはなくてはならないモノ。
自分は森に唯一人。
持ち物はまだ足りない。
それを実感したその時、摩耗していた記憶が蘇る。
「……そうだったね」
みんなが待っている。
この森を抜けなければ。
「早く……もっと欲しいな」
――――『avaritia』