ThEy'Re SEVeN ;
巨漢は一人立っていた。
辺りは見渡す限りの岩山。
気付けば一人立っていた。
「……腹空った」
着ている服は無頓着で。
持ち物はたった一つだけ。
腹もとても空っていた。
持ち物は自分の心の中。
ひとたび念じれば手の平の中。
形の無いそのモノは、今感じれば更に酷く腹が空く。
「美味い物がいい……」
巨漢は感じていた。
このモノに従っていれば、必ず腹は満たされるという事を。
自分は岩山に唯一人。
頼れるモノはそれ一つ。
それを実感したその時、摩耗していた記憶が修復される。
「……む」
みんなが待っている。
この岩山を抜けなければ。
「そしたら……美味いもんが喰える!」
――――『gula』