ThEy'Re SEVeN ;

――――『luxuria』『superbia』


行き交う肉塊は馬鹿馬鹿しいとさえ思う。

塵芥[ゴミアクタ]は殖[フ]え続けていた。

いつもそう。

自分達が汚濁を蒔く時は常にそうだ。

否、塵芥が殖えたからこそ集う我ら。

汚濁は清掃を促している。
あれは、汚いモノを嫌う。
だというのに汚さに気付くのが遅すぎる。

だから。
もっと『増やして』
促すのだ。

『汚いからそろそろ掃除しろ』と。


青年と老婆は闊歩する。

青年は誰もが振り向く端正な顔立ちで、老婆は誰もが目を逸らす程醜かった。

見渡す限りの鉄の中。
巨大な長い立方体は、我が一番と言わんばかりにどれもが彼らを見下ろしている。


「すげぇな、コンクリートジャングル俺初めて」

「この間の発展とはまたえらい違いだねぇ」

既に記憶は摩耗しておらず、二人は初めて踏み締めた筈の街をどこか懐かしそうに見回した。

持ち物は解っている。
すべき事も知っている。

形の無いモノは汚濁。
手の平に現れるわけでもない。

それは蔓延る肉塊へ撒き散らすべきモノ。

「しかしどーよコレ、この時点で俺らが何しなくてもかなりヤバくね」
「あぁだが、それでもあれはまだ気付かない。否気付いてるのかも知れぬが、見て見ぬフリ…と言ったところか」
怠惰の奴に似ておるわ、とぽつりと老婆は添える。

互いが、みんなが、持っているモノを使って
あれに汚さを思い知らせる。

これがみんなで出来る唯一つの方法。

使える持ち物はそれしかないのだから。


「ま問題ないじゃろ、ワシ一人でも充分な仕事じゃというのに」
「相変わらず自惚れてるなババァ」
くつくつと二人は嗤[ワラ]う。

それがみんなの持っているモノ。


少女も少年も巨漢も

男も女も青年も老婆も

各々が各々の汚濁を持っている。



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