スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
第5章 先生たちの放課後ディナー
「先生、あんたの手柄だよ」
「おはよう、なぎさ先生。よく眠れた?」
「美香子先生~、全然寝てない~」
「そうみたいね。目の下にクマができているわよ」
「がぉぉ」
「そっちのクマさんじゃなくて」
ころころと笑ってのける美香子先生は、昨日、ちゃんと眠れたんだろうか?
裏門のあたりでたまたま落ち合ったわたしと美香子先生は、並んで職員玄関を目指しながら、表向きは普段どおりの会話を交わしている。
胸の内側では、少なくともわたしは、昨日のあれこれを思い出しては、もやもやしている。
放課後、この駐車場で頼利さんの車に乗ってからの時間はあまりにも濃密で日常を超えていて、わたしの頭はまだ全然、情報を処理できていない。
「なぎさ先生、今日の夜は空いてる?」
「え、夜? 特に何もないけど」
「一緒にごはん食べない? 飛梅はお休みだから、わたしの家で。どう?」