スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
脚、長い。
背、高い。
顔立ちは彫りが深くて、且つ目元は涼しげで、西洋人と東洋人の中間みたいな、どっちからもモテそうな造形をしている。
そのライリというイケメンは、わたしを見て眉をすがめて、らみちゃんに短く訊いた。
「誰だ?」
見た目に違わぬイケメンボイス、ありがとうございます。
こんな人、実在するのか。
テレビの中だけじゃないのか。
てか、もしかしてテレビに出てる人ですか?
わたし、あんまりテレビ観ない人なんだけども。
イケメンが、わたしとらみちゃんの間にある椅子に腰を下ろした。
近い。
かすかに、コロンみたいな匂いがする。
らみちゃんは平常運転で、わたしのことをイケメンに紹介した。
「先生だよ。矢島なぎさ先生」
「ああ、なるほど。お噂はかねがね」
イケメンが横目でわたしを見て、ほどよい厚みのある唇の端を持ち上げた。
流し目ってやつですか、もしかしてこれ。
わたしはドギマギしながらも、背筋を伸ばして会釈した。
「らみちゃんの担任の矢島と申します。
家庭訪問の件で、らみちゃんのおうちのかたとお話ししたくて家庭訪問させていただいたところ、らみちゃんとあなたが車でこちらに向かうのが見えたので、つい追い掛けてきてしまいました」