スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「なぎさ先生は、体育や昼休みに、子どもたちと一緒に体を動かすでしょう? わたしは学校に着いたら、保健室に缶詰だもの」
「体育あった日は、おなか減って、絶対おやつ食べちゃう。やめなきゃヤバい習慣なんだけどね」
頑張ってね、と美香子先生はにこにこしている。
頑張るよ、と言いつつ、わたしはたぶん危機感に欠けていて、美香子先生が一生懸命なのの半分も本気になれないと思う。
だって、美香子先生は恋をしている。
5歳年下の俊くんの前で変な若作りをせず、できるだけナチュラルな自分でいられるようにと、とても美しい目標を持って努力している。
恋、か。
教員になってからというもの、見事に無縁だったな。
中学や高校のころは、等身大でありきたりで素敵な恋をしてた。
経験値がなかったわけじゃないのに、所詮は子どもの恋に過ぎなかったってことかな。
大学時代、わたしは何で加納にほいほいついて行ってしまったんだろう?
「結局さ、男の人のどこに惹かれて始まる恋なら、その後まで大事にその人のことを想い続けられるんだろう?
姿かたちのカッコよさとシチュエーションに持っていかれるのはアウトだって、わたしは過去の経験からガッツリ学んだけど」