スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
☆.。.:*・゜
加納と付き合って2年目に入ったばかりのころだ。
わたしは大学のコンピューター室で缶詰をして、どうにかレポートを仕上げた。
できる限り急いだけれど、加納との待ち合わせの時刻を30分遅らせてもらっていた。
エンパヰヤのいつもの席で、加納はいつものブルーマウンテンを飲みながら、読書をして暇をつぶしていた。
「待たせてしまって、本当にごめんなさいっ」
勢いよく頭を下げたわたしに、加納は本を閉じて笑顔を向けた。
「かまわないよ。昼過ぎには連絡をくれていたんだし。早めに来たのは、ぼくの勝手さ。読書がはかどったよ」
その言葉が本心なのか皮肉なのかを、完全に左右対称な笑顔は悟らせない。
でも、落ち度は間違いなくわたしにあるから心苦しくて、勧められた椅子に掛けても、顔を上げられなかった。
シックなエプロンドレスの店員さんがお冷とメニューを運んできた。
メニューを受け取ったわたしは、早く決めなきゃと焦りつつも、少し悩んでしまう。
ようやくのことでカモミールティーを選んだら、店員さんが去っていった後、加納にじっと目をのぞき込まれた。
「きみはいつも、注文するまでに悩むんだな」
「紅茶の種類がたくさんあるから、説明を読みながらだと、どうしても……」