スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


ズレている。

歪んでいる。

ちぐはぐなのは、登場人物全員だ。


政略結婚が急がれているのは、もしかして、加納の祖父の会社が経営不振に陥っているから?

彼女の実家のほうが優位な立場なんじゃない?

だって、加納の立場が上なら、好きでもない女性との婚約なんて、あっさり破棄できるはず。


じゃあ、加納は被害者?

そうとも言い切れないでしょう?

同居中の婚約者がいる身で、元カノを呼び出して、手を握って話をしている。

一昨日なんか、ホテルの部屋を押さえていた。

不倫か浮気って呼んでいいんじゃない?


わたしは?

加納の呼び出しを無視すること、できたでしょう?

今この瞬間も、手を振りほどくことができるはず。

どうしておとなしくしてるの?

だって、加納はエリートでセレブだから。

お金持ちのご令嬢よりわたしのほうがいいって言ってくれてるし。


婚約者である、そのご令嬢は何を思ってるの?

彼女もまた家に振り回されてる?

それとも、加納との婚約を喜んでる?

1ヶ月、よく一緒に暮らせてるよね。

恋は盲目というやつか、それが彼女の役割だから頑張ってるのか。


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