スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
☆.。.:*・゜
疲れた。
ほんとに、ドーッと疲れた。
ものすごい充実感に満たされている。
「先生、あんた、センスいいよ。練習すりゃ、相当なもんになる」
「ありがとうございます。わたし、もっとジャズを知りたいって思いました」
「練習しに来ていいぜ。あんたとセッションするのは楽しかった」
頼利さんが額の汗を拭った。
何気ないその仕草に、ドキッとする。
スタジオは空調が効いてるけど、運動量の多いドラマーはそれでも暑いんだ。
スラリとしたシルエットではあっても、頼利さんは腕も胸もしっかりと筋肉が付いている。
自分もライヴに出ることがあるって言ってたし、アマチュアとはいえ、かなりの腕前のはずだ。
初心者のわたしが頼利さんとセッションするって、普通じゃあり得ない。
「わたし、自分でも練習しますね。ジャズの語彙を増やさないことには広がっていかないなって、実際に弾いてみてよくわかりました。
同じことばっかりやってしまって。ああいうのはカッコ悪いんですよね?」
「最初は仕方ないさ。興味持ってチャレンジするのと、ジャズミュージシャンに直接教わるのが、上達への唯一の王道だ。遠慮せずに、おれを頼れ。教えてやるから」
「ジャズ教室みたいなの、ここでやってるんですか?」