スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
まさか、と思ったけど、本当だった。
サックス奏者たちの足下には、スタンドに立てられた楽器が3本も4本もあって、見れば、ほかにもフルートに持ち替えている人がいる。
フルート、吹くの? えっ?
ドラムがあおって、曲調が変わって、サックス奏者がフルートを吹き始めた。
低めの音色が紡がれる中、意外にお茶目なフルートの音色が映える。
どうなってるんだ?
1曲の中で楽器を持ち替えて演奏するなんて、しかもそれが全部パーフェクトにうまいなんて、どういう魔法?
何なの、この魔術師集団?
というか、楽器を持ったおじさんって、何でこんなにカッコいいの?
ヤバい。
ヤバすぎる。
おじさんもおじいちゃんもカッコいい。
ドラムの貴公子がいちばんカッコいい。
音の奔流に呑まれたわたしは、日常とは違う時間の流れを体験している。
一瞬一瞬が鮮烈で、まばたきするたびにシャッターが切られて、そこにある光景が脳裏に焼き付く。