スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


出会いを探してたっていうのは、加納自身が言ってたことだ。

あのカクテルの話を通じて、わたしの家柄がまあまあだと、加納の頭にはインプットされたことだろう。

そこから加納による評価が始まって、わたしは合格ラインに達した。


まあ、いいや。

もやもやが完全に晴れたとは言わないけど、過ぎたことだ。

加納って男のことは、今度こそ、もう忘れる。


飲み物と料理を手早く出してくれた俊くんは、仕事ぶりを見るに、いつもと同じペースだ。

一昨日と昨日、わたしは俊くんを傷付けてしまったけど、俊くんはどうやら立ち直れそう。


あぶりサーモン丼の温玉のっけを掻き込むわたしの隣で、俊くんと美香子先生は、中断してた話の続きを再開した。


「どこまで話したかしら? 実家から荷物が届いたところは話したわよね。

野菜だと思って開けてみたら、薬味ばっかりだったのよ。ミョウガや紫蘇、ニンニク、山椒。お店で使えないかしら?」


「いただけるんなら、ありがたく使わせてもらうよ。一人暮らしの食生活だと、薬味みたいなのはあんまり使わない?」


「そうね。翌日に匂いが残るものは、職業柄、食べたくないし。

俊文くん、明日の午前中はサッカーの練習でうちの近くに来るでしょう? 帰りにうちに寄って、箱ごと持っていかない? ついでに、お昼ごはんくらい出すわよ」


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