スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


頼利さんはお茶のグラスを置いて、じっと強い目でわたしを見つめた。


「教師と保護者は付き合えねぇんだろ? 期間限定とはいえ、らみの保護者としておれが表に出たら、あんたを落とすのに支障が出る」


「な、何を……そんな、急に?」


「急じゃねぇだろ。1ヶ月前から予約しといたはずだ。

運のいいことに、夏の終わりまで待たなきゃならねぇと思ってたら、姉貴が予定を早めて帰ってきてくれた。今日、解禁してもいいだろ?」


上條家の保護者さんとして授業参観に現れたのは、らみちゃんそっくりな、元気でかわいいおかあさんだった。


らみちゃんママは外資系企業に勤めていて、中国に新しく建った工場のスタートアップ事業のもろもろを任されていたらしい。

本人いわく「ブルドーザーのように」仕事をして、8月までかかる見込みだった仕事を7月頭で終わらせて、昨日、帰国したんだそうだ。


今日から、らみちゃんはまた、おかあさんと一緒に暮らす。

頼利さんは保護者カッコ仮という身分から解放されて、らみちゃんの叔父さんでドラムと英語のお師匠さまという立場に戻る。


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