スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
じゃあ、あのメールはやっぱり何?
アドレス教えた相手って、大学時代にはちょいちょいいたけど、教員になってからはたぶんいない。
お酒の席で酔っ払って全部教えた可能性もゼロ。
わたし、1滴のアルコールもダメだから絶対に飲まない。
「なぎさ先生、あのね、ライリが放課後に学校の駐車場で待ってるって」
「えっ、ち、駐車場? プールのそばの?」
「うん。それでね、時間くれって。今日は仕事じゃないから、ライリ、話せるって」
職員室から教頭先生が出てきた。
らみちゃんの声はよく通るから、筒抜けに聞こえてしまったんだろう。
怪訝そうな顔の教頭先生に、わたしは慌てて説明した。
「家庭訪問ですっ。期間内にらみちゃんのお宅にうかがうことができなかったんですけど、おうちでのらみちゃんの様子を今日、ようやくお話ししていただけることになりまして!」
らみちゃん、お願いだから余計なこと言わないでね。
家庭訪問って説明、ひっくり返さないでね。
じゃないと、わたし、らみちゃんつながりの誰かさんと放課後デートするみたいに、教頭先生から誤解されちゃうんだから。