スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
と、ここで一時休戦。
美人なママさんがコーヒーを運んできてくれた。
ありがとうございますとお礼をして、しゃなりしゃなりと去っていく後ろ姿を見送って、コーヒーに砂糖とミルクをぶち込んで、スプーンでぐるぐる掻き回す。
猫舌なので、しばらく放置。
で、再び開戦。
「そもそも、あなた誰なんですか? らみちゃんのご家族?」
「叔父ってのは、家族のうちに入るのか?」
「さあ、わかりません。質問が悪かったですね。目下、わたしにとって重要なのは、あなたがらみちゃんの保護者さんであるかどうか、らみちゃんの生活に関してきちんと責任を持っておられるのかどうかです」
ライリさんは面倒くさそうに顔をしかめて、ポケットから財布を出して、財布から名刺を出した。
有名な楽器店のロゴが入った名刺だ。
学校から近い喜多町商店街に、そういえば、その楽器店がある。
「上條頼利【かみじょう・らいり】だ。昼間は楽器店の店長、夜はジャズのドラマーとして、たまに演奏してる。らみにもドラムを教えてる。らみの母親がおれの姉貴だ」
「らみちゃんのおかあさんは今、どうされてるんですか? 全然連絡がつかないんですけど」
「中国の僻地の支社だか工場だかに長期出張中。この4月からで、8月下旬には帰ってくる予定だ。おれは、らみの母親がこっちにいない間、らみと一緒に住んでやってる」