スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「留守電、チェックしておられないんですか?」


「してねぇな。おれ自身はもともと楽器屋の上の適当な部屋に住んでて、らみも今は自分ちで過ごす時間は短い。

枕が変わったら眠れねぇやつだから、夜は必ず帰って自分のベッドで寝るって程度だ」


らみちゃんの自宅と頼利さんの楽器店は、さほど離れていない。

行き来は簡単だろう。

思い返してみれば、昨日らみちゃんが車に乗るのを目撃したのは、楽器店に近い駐車場のそばだった。


頼利さんが一口、コーヒーをすすった。

「熱っ」とつぶやいて、眉をしかめる。

熱いに決まってるじゃん、ざまーみろ。


「わたし、毎日のように留守電にメッセージを残してるので、邪魔なようでしたら消してください。内容、全部一緒ですから。

家庭訪問にうかがいたいのでご都合のよい日時をお知らせください、って」


「ああ、はいはい、平日の午後ならだいたい時間つくれっから、店のほうに来てくれりゃいい。それとも、ここで話して終わりってことにするか?」


「却下です。時間が足りなすぎます。らみちゃんについては、おうちのかたに相談したいことがたーくさんあります」


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