スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
頼利さんが、不意に真剣な顔をした。
イケメン度が上がるけど、もうごまかされない。
「やっぱり、らみは変わり者か? クラスでのけ者にされたりしてねぇか?」
「今のところ、いじめの心配はないようです。良識のある、度量の大きい子どもばかりのクラスで、わたしも助かってます。
ただ、らみちゃんとどう接していいか、わたしにはわかりかねることがあるんです」
「例えば?」
「質問が極端に多いこと、ですかね。納得するまで質問し続ける。算数だったらいいんです。答えがスパッと出せますから。
難しいのは国語です。物語の単元でも、何で何でと、隅から隅まで質問してきて大変で」
あ、これ愚痴だ。
言っちゃダメだ。
わからないことは何でも質問していいよ、と子どもたちに告げたのはわたし自身なんだから、らみちゃんの質問だけは厄介だなんて音を上げるのは、カッコ悪いし不公平だ。
らみちゃんは張り切っている。
わからないところがたくさんあるんだと言って、1年生のころに使っていた教科書から順に、わたしのところへ訊きに来る。
今日は2年生の教科書だった。
『名前をみてちょうだい』という物語を、徹底的に解説したところだ。