スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「でも、らみは覚えがいいだろ? 1度聞いて納得したことは、絶対に忘れない。きちんとそれを学習する」


「おうちでも、らみちゃんは質問が多いんですか?」


「母親がいない生活に慣れるまで、最初の2週間は凄まじかったな。

毎朝同じ時間に目ぇ覚ますたび、朝飯の食い方も忘れたんじゃねぇかってくらい、1から10まで訊かれて説明してやって、やっと動いてくれる」


「そうだったんですか……」


この人、1から10まで説明したのか。

意外だ。

姪っ子のこと、ちゃんとかわいがってるってことかな。


「先生、あんた、らみがこれまでに何度か熱出してたこと、気付いてたか?」


「熱? えっ、いつですか?」


「気付いてなかったんだな。らみ自身、気付かねぇ体質みてぇだしな」


「ちょっ、ね、熱ってどうしてですか?」


「ストレスがかかると熱が出るんだと、うちのおふくろが言ってた。つまり、らみのばあさんだが。

らみは本当にちょっとしたことで熱が出るのに、らみにその自覚がない。赤ん坊のころから変わってないんだそうだ」


「ちゃんとそういうこと教えてくださいよ。今まで、熱があるのに体育をやらせてたかもしれないんですよ。何かあってからじゃ遅いんだから」


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