スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
頼利さんがわたしに流し目をした。
「先生、おれに興味あるわけ?」
「はぁ!?」
「さっき、おれのことを、らみから聞き出そうとしてただろ」
「誤解を招く言い方をしないでください! 家庭環境調査の一環ですっ」
「面倒くせぇな。小学生のガキがいると、調査なんかされんのか」
「当然でしょうが! 子どもたちが適切な家庭生活を送っているのか、学校は把握する必要があるんです!」
頼利さんは唇の片端を持ち上げて、呆れたような皮肉っぽいような笑い方をした。
その顔、反則っつってんの!
無駄にカッコいいのやめて!
「熱血教師ってやつか。今どき、あんたみてぇな人間いるんだな。流行んねぇだろ?」
「熱血に流行りもすたりもないですっ。教える仕事に就いてる人間は、多かれ少なかれ絶対に熱血してるとこあるし!」
「だから、声デケェんだよ。TPOをわきまえろ」
あなたには言われたくない!
ふざけんなよ、こんにゃろー!
と叫ぶのは胸の中だけにしておいて、やんちゃな小学生たちを相手に培った忍耐力を総動員する。
深呼吸をひとつ。
わたしは、話を本筋のレールの上に乗せた。