スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「楽器店の店長のお仕事をしながら、こうしてライヴの裏方をすることも多いんですか? ウォーターサイド・ジャズ・オーケストラみたいな国外のバンドのお世話をしたり、通訳に入ったり?」


「いや、WJOの連中だけが例外だ。おれがニューヨークでジャズドラマーを目指してたころ、リーダーたちに世話になってた。

その代わりっちゃ何だけど、年に1度の日本ツアーのときには手伝ってる。楽器の運搬用に車を出したり、キー貸してやったりな」


ウォーターサイド・ジャズ・オーケストラのプロデュースを担当しているのは、ニューヨーク在住の女性ジャズ作曲家だそうだ。

頼利さんは在米中、藁をもすがる思いで彼女に頼み込んで、WJOのドラマーである貴公子ジョンに弟子入りした。


プロデューサーの彼女は、もちろん今回の日本ツアーにも参加して、WJOの皆さんの引率をしている。

昨日はたまたま彼女が別件の用事で忙しくて、頼利さんにそのお鉢が回ってきたらしい。


「それじゃ、らみちゃんをこんなに遅くまでライヴハウスに引き止めるのは、今回が特別ということですね?」


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