スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「ああ。昨日と今日、あいつらがここでライヴをする2日間だけの特別だ。らみにとって最高の勉強になると思った。だから、少々危険があるのはわかってて連れてきてる」
「危険、ですか? どういう意味です?」
「夜11時半キッチリに就寝。それより遅れたら、翌日、熱が出たり腹を壊したりする。11時より早かったら、ちっとも眠らねぇし。
夜9時からの回が終わって帰り着いたら、けっこうぎりぎりなんだ」
11時半って、小学生にしてはちょっと遅い。
でも、そういう習慣になってるなら仕方ない。
らみちゃんの様子をうかがったら、にっこりの口で、目を閉じて、指先でタカタカとテーブルの端を叩いていた。
どうやらBGMのジャズに合わせて、脳内ドラムで遊んでいるみたい。
どうりでおとなしいわけだ。
客席はほぼ埋まっている。
開演時刻、直前。
低いステージの上の楽器たちは、レトロな照明の下で、静かにキラキラしている。