スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
ウォーターサイド・ジャズ・オーケストラのプロデューサーというのは、ステージ袖で若い人々に囲まれてるボブヘアの彼女だろう。
ころころと声をあげて笑い転げる姿は屈託がない。
すごい人なんだろうけど、気さくな雰囲気なのが素敵だ。
「Hi, Rummy」
ダンディーな声が、らみちゃんを呼んだ。
なんと、ドラムの貴公子だ。
ついさっきまで熟女なファンの皆さんたちと写真撮影をしてたけど、やっと解放された模様。
しかし、近いです、貴公子。
こんな近くでご尊顔を拝んでいいんですか。
らみちゃんが、ぱっちりした目を開けて、貴公子に両腕を伸ばした。
「ジョンのドラム、最高だよ! すごい! カッコよかった!」
と言ったと思う。
少なくとも、そんな感じの言葉だったはず。
わたし、目が点になってる。
らみちゃんが流暢な発音の英語を口から放ったせいだ。
貴公子が、らみちゃんを抱き上げた。
お姫さま抱っこだ。わーお。
「絵になる……」
天真爛漫な美少女らみちゃんが天使のように笑ってて、会場に残ってるメンバーたちも楽しそうに見守ってて、何より貴公子がスラッと背筋を伸ばしてお姫さま抱っこして優しく微笑んでるのが、あまりにもまぶしい。
貴公子が頼利さんに何か言った。
もちろん英語だから、何て言ったのか、わかんない。
受け答えが続いて、リーダーであるトランペット奏者さんも話に加わってきて、みんながチラチラとわたしを見て。