スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
イヤな予感。
「ないないないないないっ、絶対ない! あり得ねえ!」
って感じで、頼利さんが「No way!」を繰り返しまくった。
らみちゃんがくすくす笑いながら、ゆっくり言った。
「なぎさ先生は、あたしの先生だよ。ライリのガールフレンドやワイフじゃないよ」
待てぃ!
やっぱそういう話ですかぃ!
説明したい。
突撃家庭訪問からのライヴハウス乱入の経緯と、今日ここに至るまでのあれこれを、きちんと彼らにも説明したい。
でも語学力がない。
くぅぅ、悔しい……。
でも、ちょっと待ってよ、頼利さんの様子が何かおもしろいんですけど。
わたしの前での飄々として上から目線な感じと、全然違う。
貴公子やリーダーさんに対して、子どもみたいに、むきになってる。
そりゃそうか。
年齢差、相当あるし。
さっき聞いた話だと、おふたりが頼利さんの師匠みたいな存在だったようだし。
クールでニヒルな微笑みの貴公子と、クルッとした目を輝かせて笑うリーダーさんは、余裕たっぷりの言葉少なに頼利さんをからかっている。
頼利さんは、どうやら汚いっぽい英語でギャンギャン言い返してる。
うん、そのキャラのほうがいいよ。
ガキんちょバージョンの頼利さん、かわいいよ。
というか、この人、年上だと思うからイラッと来るのかも。
生意気な口の利き方をするガキんちょさんだと認識を改めれば、案外、きちんと話せるんじゃないだろうか。