スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「きみは今、このあたりを主たる勤務地とする小学校教諭として、教育現場で働いているんだろう? 教員採用試験は1発合格。なかなか優秀な人材というわけだ。
今の地位を、きみは自分の力で手に入れた。ぼくも誇らしく思うよ。大学時代のきみとは違うんだね」
加納はわたしを批評する。
あらゆるものを批評して、ランク付けをする。
自分にはそれをするだけの価値があると思っている。
実際、加納は価値ある人間なのかもしれない。
スペックの高さを人間の価値と言い換えるならば。
加納は一流の私立大を優秀な成績で卒業して、文部科学省の若きエリート官僚の地位に就いた。
すでにかなりの高給取りで、これからさらに出世していくんだろう。
加納は、間違いなく、社会の高みに鎮座している。
わたしなんか足下にも及ばない。
だから、ほら、わたしはこうして動けなくなる。
うなずくことと謝ることしか思い付かなくなる。
思考が鈍る。
あなたのほうが偉いんだから。
あなたのほうが正しいんだから。
わたしなんかレベルが低いんだから。
わたしなんか、わたしなんか、わたしなんか。