俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】
「俺は…」




花の姿が脳裏に浮かび上がる。




笑った顔、怒った顔、悲しんでる顔、真剣な顔。




何事にも真っすぐに立ち向かうあの姿。




ドキンッ




胸の鼓動が強く鳴り響いた。




その瞬間胸の鼓動は加速を始めた。




俺は一呼吸を置き、自分の気持ちにやっと気がついたのだ。




あぁ、そういうことか。




…やっと気づいたよ。




そうか、俺はとっくの昔から花のことを――――




「柊が花のことどう思ってようが、俺は花のことを誰にも渡すつもりはないからな」




だめだ。

花は…誰にも渡さない…っ…




絶対に…!




この場を立ち去ろうとした成宮の腕を掴んだ。




「…なに?」
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