俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】
咄嗟に思いついた嘘でなんとか誤魔化そうとする。




しかし、そんな嘘が涼太くんに通用するはずがなかった。




「…泣いてたの?」




涼太くんは眉を八の字にさせ、優しい声をかけた。




「…泣いてない」




「嘘だ、俺には分かる」




涼太くんは下を俯く私の顔をあげさせ、真っすぐに視線を合わせてきた。




「花…なにがあったか言って?」




ずるいよ…涼太くん…
今、そんな優しいこと言われたら、私…っ…




再び堪えていた涙が零れ落ちたのだった。
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