弱虫総長と七人の護衛
俺はあくまで平静な態度を装いながら再度双子を見つめた。

こうして正面からじっくり見ていても、未だにどちらがリヒトでどちらがリュウトなのか皆目見当もつかない。

え?名前を呼んでしまえば一発だと?

……悔しいことにこいつらは俺が見分けられないことを知っている。 

そしてタチの悪いことに時々片割れに成りすましてくるのだ!

年上(十中八九、俺)をからかうのもいい加減にしてほしい。

まあ見分けられない俺も悪いのだが。

ちなみに、俺以外の蠡宴幹部のメンバーはやつらを見分けることができる。

その事を知ったとき、俺は世の中は不可思議と不条理で溢れていると嘆いたものだ。

生命の神秘とは何ぞ。どうして俺だけ違いがわからないのか。

そこら辺どうなっているのか是非とも神様にお聞きしたい。


そんな俺の心中苦労を知ってか知らずか、双子は揃いの金髪を揺らし赤青オッドアイをキラキラ光らせながらこちらに群がってきた。
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