弱虫総長と七人の護衛
……『赤青オッドアイ』。
どんな事情が有るのか知らないが、世間一般の人間の瞳の色ではない。
病気なり怪我なり、過去に何かあったのではないか。普通の人ならそう思うだろう。
勝手に同情の念を抱いたり、無理に詮索するような礼儀知らずな奴もいる。きっと人類の殆どがそうだ。
けれど、俺はそいつらとは違うと言い切れる。
何故なら、ここ暴走族『蠡宴』の幹部には、人とは少し違う事情を抱いている奴しかいないからだ。
紬も、双子も、梓も、もちろん俺も。
苦くて深い、ビターチョコレートのような過去を共有しているうちに、『クレイジー』が『日常』になってしまったのだ。
まあ、別にそれが嫌だとか辛いとかいう訳じゃない。
確かに昔は死にたいと思ったこともあった。きっとこの双子だってそうだろう。
でも今は違う。
死にたいと思っていたらとっくに死んでるんだ。
だから、ここにいる奴等はもう死とは無縁。