弱虫総長と七人の護衛
「えへへ、良いよ。教えてあげるぅ」と、語尾を伸ばしてリヒトが言った。

偉そうに言うな、あと照れるな。そしてさりげなく俺のパジャマを脱がそうとするな。

言いたいことは沢山あったが、優しい俺は黙って話を聞いてあげることにした。

さぁ、来い。きっと俺を侮辱するためだけに作られた渾名達よ。


「あのね、あのねぇ、まず『ドメスティック・ヴァイオレンス』はね、萩くんの人生そのものを客観的に見つめたところから生まれたんだぁ。きっと萩くんはこれから『男尊女卑』を信仰し始めると思うよ。ね、ぴったりでしょ?」

「そうだな、素敵素敵」

本当に、ええ、素晴らしいじゃありませんか。見事に貶していらっしゃる。

でもこのくらいじゃ怒らない。怒る理由が見つからない。はい、次。


「次?えっと、『無内定』か。これはねぇ、萩くんの将来性を考えたものです!就活期間中に五十社くらい受けて見事に全部落ちるという、内定の取れない未来が見えたので。ボクの夢で」

夢オチか……じゃなくて、夢落ちか。

良いね。俺、そういうジョーク嫌いじゃないよ。はい、次。
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