弱虫総長と七人の護衛
     ◆

十分後。俺たちは三階建ての無機質な建物の前に立っていた。

見るからに悪者のアジトっぽいこの場所こそ、俺たちの家であり蠡宴の本部だ。

ようやく家についた安堵からか、紬がインターホンを連続押ししている。

ピンポンピンポンピンポンピンポン…… 
 
あー、そんなに押したら絶対怒られる。止めとけ、総ちょ「五月蝿いよww皆起きちゃうでしょーがw」

……遅かったか。

俺はため息をついて出てきた人物を見つめた。

おちゃらけた表情をしているが、多分怒っているのだろう。

これは早めに謝っといた方がいいな。

「ごめん、梓。総長また苛められててさ、安堵からの行動だから許してやってくんない?」

「うっそマジでww分かった分かった、怖かったね、つっちゃんww」

俺がその人物-水上梓に謝罪すると、彼は癖のある茶髪をかきあげて面白そうに含み笑いをした。

「まぁ、あがりなよwお腹減ってるだろうと思って、お夜食作って待ってたんだww」
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