弱虫総長と七人の護衛
人気が高いということは、それすなわち競争率が高いということ。

俺がぐだぐだしている間にも紬の箸は止まらないのだ。

いや、もしかしたら紬だけじゃないかも……大食いの明日香とかがいたら、確実に俺の分は無い。

ハムスターのように口一杯に食べ物を頬張るあの女を想像して、俺の足は必然と速くなる。

扉を開けて、秒で椅子にシット・ダウン。

「むぁ?あー、ふぁぎもたべなお。おいひぃよ」

「総長死ね。食いながらとか汚いですよ。……ああ、良かった。ちゃんと分けてくれてたんだな、梓」

俺の机の上は湯気のたつうどんの盛られた水色の器がある。

キッチンで洗い物をしている梓を見ると、手を動かしながら軽くウィンクしてくれた。

俺は安心して手を合わせる。

世界中の動物と植物と、農家の皆さんと梓に、愛を込めていただきます。
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