弱虫総長と七人の護衛
うん、これぞ日本人の文化だ。素晴らしい。

俺はしっかりと箸を手にし、むぐむぐと麺を噛む。咀嚼音が鳴らないのが非常に嬉しい。

これもまた、梓の気遣いだろう。

食べているときに音が鳴ると、周りに見られているんじゃないかと不安になる。


-俺の人生で最低最悪のトラウマが蘇るのだ。 

 そして、俺はまだそれを克服できていない。-


「ふぅ、ごちそうさまでしたぁ。あ、萩、お風呂先いい?」

「え?……あぁ、先に入っててください」

満腹で上機嫌な紬に生返事をして、俺も中身を平らげた。

出しっぱなしにしたままの紬用の器も一緒くたにし、梓のところへ運ぶ。

「ごちそーさん。美味しかった、さすが梓」
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