水玉模様
「断ったよ、丁寧に。」

そうして篠田くんは、いつもの笑顔を見せるのだった…。

「そうだった、篠田には“沙耶香”がいるんだよなー。」

「……。」

“沙耶香”の名前がでた時の篠田くんは、決まって否定もしなければ、肯定も…しない。

「ヒュ~♪」

「…うるせーよ。」

あたしは、ただの照れ屋なんだと思っていた…。


キーン…コーン……

6限目の始まりを告げる、チャイムが鳴った。

“お前は負けてんだよ”
って、言われた気がした…。

ウルサイよ。

いいじゃん、好きでいるくらい…。

仕方ないよ、好きに…なっちゃったんだから。



「ねぇねぇ瀬口ぃ。」

「ん?」

授業中、隣の席のあやねからよく話しかけられる。

あたしのいる文系クラスは女の子が多いから、女同士で隣になることは、珍しい事ではないんだ。

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