水玉模様
「瀬口かっこい~!」

あやねがウキウキ顔で寄ってきた。

「さっきのあやねも、カッコよかったよ?」

「まぢ⁈きゃ~ッ!」

あやねはカッコいいなんてキャラじゃないから、よほど嬉しかったらしく、今にも飛び跳ねそうだ。

あやねにもあんな一面があったなんて…森さんの事が気に入らないとは言ってたけど、あたしの為にって思ったら嬉しかった。

同時に、そのあやねに篠田くんへの気持ちを隠してる事を、申し訳なく思った。

「平川、何が”きゃ~”だ。早く席につけ。」

「ふぁ~い。」

担任に注意され、ほっぺたを膨らませながら席に戻るあやねは、やっぱり可愛いな…と思うあたし、その一方ではさっきの事を考えていた。

昨日の事…何でもないと、違うんだとーーーそう言えばいいのに。

何で森さんにも黙秘する必要がある?

彼女なのに。

だって…あたし達は、何もなかった。


なにも、なかったんだから…。


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