水玉模様
「う、うるさいなぁ。」

「また怒った~。」

「誰のせいよ。」


「悠ぁーッ!」

あたし達の会話を、カマイタチのように遮る声…。

教室の扉あたりから手招きする“沙耶香”の姿があった――…。

「悠、早く帰ろ?」

「あ、うん。待ってて、スグ行く。」


「じゃぁね、篠田くん。」

「じゃぁ…。」

ーーー腕を引かれて歩く篠田くんの背中を、黙って見送るあたしがいた…。


というワケで、部活無し彼氏無しのあたしは、ほとんど毎日あやねと帰る。

「あやね、お待たせ。」

「篠田くん何だって?」

「あー…、さっきごめんだって。」

「ふーん。」

あやねは知らない、あたしの気持ちを―――…。

実る訳などない、この恋心。

毎日一緒に登下校してる篠田くんと“沙耶香”の存在は、最近有名になりつつあった。

付き合ってる―――誰もがそう思ってる。


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