水玉模様
あの2人の姿を、見なくてすむ。

「しょうがないなぁ。行こっ。」

「うん。」

「瀬口もボーっとしてないで、行くよ?」

「…うん。」


“瀬口さんはそんなに化粧しなくても、イイと思うよ?”

篠田くんの言葉が、何度も耳元をくすぐった―――…。


「瀬口っ。」

「あ。充也じゃん。」

帰ろうかという時に、鈴木充也(すずきみつや)がひょっこりと現れた。

「篠田くんなら、もう帰ったよ。」

「うん、知ってる。」

充也は篠田くんと同中で…あたしとは、1年の時に同じクラスだった。

篠田くんと一緒に帰ってたのは充也だったのに。

「悠にコレ返しといて?」

「教科書じゃん。入ってきて自分でロッカーに入れれば?」

あたしは、教室の出入り口に立っている充也に向かって、ぶっきらぼうに言った。


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