水玉模様
「かわいくないな~。」

「それが瀬口だもんね!」

「あやねが言うなって。」

「あはは。瀬口こわーい!」

こんな、何でもない時間が、結構好きだったりするあたし。

「あやね、あたし今日充也と帰るわ。」

「リョーカイ。じゃぁね。」

「瀬口姉、じゃぁまた!」

教室には、あたしと充也の2人だけになった――…。


ひらひら…

「…なによ。」

充也が、何か言いたげな顔をしていた。


ひらひら…

「瀬口、触りたくないんだろ。」

ひらひら……

充也が、篠田くんの教科書を、ひらひらさせている…。


それは、あたしの目の前…。

ひらひらーーー…

教科書の揺れに乗って、篠田くんの匂いが、あたしに触れそうになる…。

今、どこにいるの…?


ひらひら…ひらひら……

あたしの心も、薄っぺら…。


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