水玉模様
「うるさい、早くロッカーに入れて。」

あたしは低い声でそれだけ言うと、教室を出ようとした。

「わかったよ。てか俺と帰るんだろー?」

「そんな事どーでもイイよ。あやね達に気ぃつかっただけなんだから。」

「ハイハイ。今行きますぅ。」

充也は、教科書をロッカーにしまった。


間もなく、廊下に2人分の足音がゆっくりと響いた…。

「なぁ瀬口…お前さ、まだ…。」

「…そうだよ、悪い?」

充也の話―――最後まで聞かなくても、わかる。

“まだ、悠のコト好きなのか?”


「……やめとけよ。」

「充也に言われたくない。」

これは、あたしの問題。

充也には、あたしの気持ちを話してある。

でも、好きでいるコトをやめるのは…あたしがそうしなきゃいけない訳で。

「ごめん。」

「謝んないでよ。帰ろ?」

「そうだな。てか何で教科書触りたくない訳?いつも嫌がるけど、フツー反対じゃね?」

「そぉかもね…。」

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