水玉模様
「きたねーぞ。俺には何でも話せよな。」

充也は聞き上手だし篠田くんと近い存在だから、何でも話してきた…。

それに、お互い気をつかわなくていい間柄。

「イヤですーっ!」

あたしは一言だけ返すと、小走りで階段を下った。

「あ!待てよーっ!」

充也は、一段ぬかしであたしの後を追ってきた。


「今日まぢ暑いな。」

昇降口まできたあたしと充也を、生温い風が出迎える。

「…。」

風に乗って舞い込んでくる、あの日の記憶。

高1の終わり…今日みたいに充也と一緒に帰ろうとして、昇降口で―――…。

篠田くんを、初めてこの瞳(め)に映した…。

…ちょっと、違うかな。

篠田くんという存在を、初めて認識した日だったんだ。


あたしが、篠田くんのモノに触れたくないのはーーー…。

ホントなら、触れたい。

触れていたい。

でも―――…。


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