水玉模様
「アレ?」

あたしも指差した。

「そう、アレ(笑)。」

充也が頷く。

「悠!」

充也から“ハルカ”と呼ばれたその人が、こっちを見た。

逆光で、よく見えない…。

「あ…!」

濡れた顔に、桜の花びらが一枚―――…。

何か、すごく画になる光景で、あたしはその場から動けなくなりそうだった…。

「悠オマエ、桜ッ!あははっ!」

充也が楽しそうに笑いだした。

「え…?桜??」

―――…声。

「顔だよ顔!」


“え…?桜??”

これが、初めて聞いた篠田くんの声だった。

何故だか、体温が少し上がってきた気がした。

顔の周りの濡れた髪が、妙に色っぽく見える…。

「あった!」

篠田くんは右のほっぺたについていた桜の花びらを取ると、ピンと指で弾いた…。

それから、顔を拭き始めたのだった。

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