水玉模様
それは吐き捨てる様だったけど、それが照れ隠しみたいにも思えた。

あたしに彼氏がいる、という事に対する余裕から出た言葉だろうか…。

言うだけ言って、森さんは体育館の中へ…姿が見えなくなってしまった。


「へへ…。」

何か、嬉しいかも。

「瀬口どぉしたのー?」

あやねは、訳がわからないといった表情で、あたしに問いかけてきた。

「別に~?」

「また隠し事ぉー?」

「違うからー(笑)。早く並ぼ?終業式始まるよー?」

「もぉーッ!」


これからは全てがいい方向へ向いて行く―――この時のあたしには、そんな予感さえしていた。

その予感通り、イマイチなのは成績だけで、後は何もかもが順調だった。

瞬と過ごしたクリスマス、誕生日に指輪をもらったばかりだったのに、瞬はあたしが欲しがっていた香水を、プレゼントとして用意してくれていた。


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